現状の年金制度および制度改正すべき点

2016年03月28日

    1. 年金制度の持続可能性を担保するための現状の仕組み

 2004年度の自民公明政権の時に100年安心と謳った年金制度改正において以下のフレー
 ムワークが作られた。
 (1) 最終保険料: 国民年金16,900円(2004年度価格)、厚生年金18.3%
 (2) 負担の範囲内で給付水準を自動調整する仕組み(マクロ経済スライド)を導入
  ・年金受給額は、物価・賃金水準に連動する仕組みとする。
  ・しかし、好景気に年金支給額が大幅に増えるのを抑制するため、賃金・物価上昇率か
    らそれぞれ一定率を差し引くマクロ経済スライドの仕組みとする。
    * 但し、賃金・物価上昇率が0.9%以下の低成長下の経済ではマクロ経済済スライ
      ドは発動しない
 (3) 積立金の活用
  ・積立金を活用し年金を100年支給、100年後に1年分の支給額を残す。
 (4) 年金財政の検証・調整
  ・上記の現況および見通しを政府は少なくとも5年に一度作成し、年金財政の健全性
    を検証。
  ・次の財政検証までに所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には、 給付額を
    調整しなければならない。     
       所得代替率の説明図

2. 今後100年間の年金給付の劇的減額回避のための改善策

 (1) マクロ経済スライドを早期に適用すべき
  ・制度化(2004年)された後10年は、デフレ経済で現役世代の平均賃金が10年で約
    10%減となる一方、本来であれば、現役世代の賃金減少に合わせ年金給付も減額
    されなければならないところ年金額が据え置かれたため、以下の表のとおり、所
    得代替率が大幅に上昇した。
  ・このことは、ただ単に一時的にマクロ経済スライドが効いていた場合に比べ、より
    高い所得代替率で年金給付がなされたことを意味するだけでなく、より長い期間に
    亘り高い所得代替率で年金が現在の年金世代に給付されることとなり、年金積立金
    の早期の枯渇を通じ将来の年金給付者との不均衝を助長するとを意味する。
      マクロ経済スライド

   (2) 標準世帯の所得代替率*1 50%超とするガイドラインの早急な撤回すべき
    ・2014年度の年金財政検証のA~Eの経済前提は、アベノミックスで期待通り、日本
   の経済が上向き、さらに、現在70%である30~59歳の女性労働力率が2030年に
   83.5%*2まで上昇する非常に楽観的なシナリオです。
    ・一方、 “経済前提 F~H”のケースは 、多くの専門家が年金の将来像により近いとし
  てが、 2004年の制度改正時に100年先まで所得代替率50%を維持するとした約束を
   守れません。
   ・しかし、現在の年金 世代の給付水準を減額することにより、大幅な減額が避けられ
   ないとされる将来の年金世代への給付を若干でも充実させることができるのなら、
   なるべく早く現在の年金給付水準を減額すべきではないでしょうか。

 以下左下のグラフ は可能な限り所得代替率50%を維持 したケース、右下は、早めに
 給付水準をげることにより、給付水準の 劇的な減額を回避し、 将来も一定の水準を
 確保したケースとして厚生労働省自身がシミューレーションしたものです。

 *1  現役男子手取収入に対する厚生年金収入の比率
 *2 出典:(独法)労働政策研究・研修機構 2014年2月10日付「平成25年度労働力
      需給の推計」表2 労働力率の概要より経済前提G所得代替率50%

*経済前提G-1
 ・数年前までのゼロ成長・賃金上昇率1%で、年金財政検証が目標とする所得代替率50%
  を維持で きるのは、2056年まで。
 ・以後の給付は、現役世代の保険料と国庫負担のみで所得代  替率36~37%。
*経済前提G-2
 ・100年後に1年間の年金給付額を残すこと前提、機械的に積立金を取崩した場合の試
   算。
 ・所得代替率50%以上は、2037年まで。2060年以降所得代替率41.9%。
 ・2110年以降の給付は、年金積立金が枯渇するため、保険料と国庫負担のみとなり、
   35%程度の 所得代替率が想定される。
 ・なお、年金財政ばかりでなく国家財政も厳く、基礎年金の国庫負担50%は試算より早
   く減額されることが予想される。
                   所得代替率G所得代替率G
   2015年2月


TOPへ戻る