公的年金の問題点の真髄は何か

2016年03月28日

年金が抱える問題には、何年も国民的な議論をしなければならない問題から、一度の会期で真剣な議論をすれば何とか結論が出せる問題まで、難易度の異なる多くの課題が存在します。 そんな中で、この6月の厚労省の年金財政検証を受けて指摘されている「マクロ経済スライド」が発動されるよう制度を改善する等の議論は、比較的に手を付け易い課題です。一方、以下に上げた課題は、ここ十数年に亘り問題点として指摘されながら手を付けられなかった利害関係の調整が困難なものです。しかし、これらの問題に対する国民的な理解が得られない限り、年金問題に対する不信感を取り除くことはできないはずです。

スライド9

1.国民年金保険料の納付率が50%を下回っている その時々の高齢者の生活を支えるために保険料の納付が国民の義務であるにも拘わらず、国民年金保険加入者では、納付免除者を含めると50%以上(約1,000万人)が保険料を納めておらず、制度上の公平性が著しく損なわれているのが現状です。(上図①参照)

【原因】・滞納しても直近で本人が罰則等により不利益を受けない・年金問題がマスコミ等で取上げられる中、若者の間では、将来受給できる かどうか分からない年金保険料を納付することに後向き

【過去に提起された解決策】・年金保険料滞納者の運転免許証の更新を制限する等、滞納者に対する罰則 を設ける・現状の保険制度に変えて税収により年金財源を確保することとする

* 生活保護を受けた方が国民年金より支給額が多い この問題が放置されている結果、年金保険料を真面目に納めるより生活保 護を受給した方が受給額が多いという制度上の矛盾があり、多くの国民年 金受給者が不満を抱いている

2.保険料を納めなくとも年金受給資格が得られる第3号被保険者 会社員や公務員を夫に持つ専業主婦等が第3号被保険者(約1,030万人)として、保険料の納付を免除されながら、将来の年金受給資格を得られる。一方、仕事に従事し自ら生計を立てる女性が年金保険料を自ら納めており、不公平である点が指摘されて久しい。(上図②参照)

* 月収下限引下げによりパートタイマー主婦の年金制度加入促進を検討 現在、多くのパートをしている主婦は年収を第3号被保険者の資格が維持さ れる130万円を超えない範囲に留め、年金保険料を納めることなく年金受 給資格を保持しようとしている。しかし、政府は少子高齢化で労働力が減 少する中、年金を納付する被保険者を確保するため、現状、厚生年金加入 下限月収を現在の9.8万円から引下げ、パートタイマーを第2号被保険者に 取り込もうと検討している。

【問題点】 厚生年金加入下限月収を現在の9.8万円より下げ、例えば、月収9万円とした場合、現在の保険料率は17.474%であり、月額15,727円の保険料で年金に加入できることとなり、国民年金加入者が月額16,100円の保険料を納付しており、公平性を欠くこととなり、国民の理解が無ければ解決が難しい問題である。

3.世代間での生涯納付保険料と受給額の不公平 少子高齢化に伴う年金給付を支える世代の先細りもあり、現在のお年寄りの年金受給額が、保険料を大幅に上回るのに対し、1960年代以降に生まれた世代は、支払った保険料に比べ年金受給額の方が少ないと試算されている。

世代毎年金損得
  2015年2月

 


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